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第2回事業承継セミナー報告書 後編

第2回事業継承セミナー報告書

事業承継における“右腕育て”の重要性

法政大学大学院特任講師・司法書士・中小企業診断士 山田直樹

司法書士の資格を26年前に取得した後、伊藤忠グループで会社の設立・組織再編などに22年間従事するなどの経歴を経て、今年東京司法書士会に登録した。中小企業診断士の資格も今年取得したが、こちらは取得後すぐに東京都中小企業診断士協会に登録した。
千葉商科大学主催の「中小企業マネジメントスクール」生々塾は参加歴10年間、現在副代表を務めて5期目になる。生々塾では、企業の経営者の講和を年間8回聞く機会があり、その中で“経営理念の浸透と維持”といった事業承継のエッセンスに触れることもある。
その他の活動としては、千葉県産業振興センター等で専門家登録をするなど、活動の場を拡大しつつある。

IM総研の考える事業承継の在り方

事業承継といえば、これまでは ①資産承継の考察(節税などの見える資産)を中心に、② 現経営者の立場(後継者ではなく)で考察され、③ 新旧経営者を当事者(経営者間の承継)としてきた。
これからの事業承継は、①経営全体(知的資産、経営理念)の承継を視野に入れて考察する必要があり、②後継者の立場にも力点を置いた考察が求められる。また、③経営者と従業員との一体化経営という視点も重要である。法政大学大学院イノベーションマネジメント総合研究所(IM総研)も、上記の視点とそれをベースにした経営理念の浸透が重要であると考えている。
事業承継のステップに関して、中小企業庁は5段階の「事業承継に向けたステップ」を定め、主に経営の「見える化」と「磨き上げ」を中心に展開するよう促している。これに対しIM総研における山田氏たちの研究では、後継者と右腕を軸に従業員を巻き込むことを前提にした「7つのステップ」の立場をとり、中小企業庁の5ステップでは触れていない、右腕の起用と従業員教育が重要となり、その核となるのが経営理念である。

事業承継の7つのステップ

事業承継の7つのステップ

 

  後継者から見た事業承継の課題

多くの中小企業が廃業を考える中、後継者獲得の困難性を原因にあげる経営はは54.5%に上り、大きな要因となっている。事業承継は、後継者を見つけることに始まり、経営理念を承継することで完成する。そこで、現経営者のみならず、承継する後継者の視点で事業承継をとらえることが必要となる。
しかし、首尾よく後継者が見つかった場合でも、後継者の右腕発掘という次なる問題が立ちはだかる。なぜなら、経営者を補佐する人材としての位置づけや役割を、経験や能力、信頼といった、現経営者の立場でのみ判断され、後継者目線は重視されていないのが現状だからだ。“後継者の右腕”を考える上では、“後継者と共に行動する”ことが求められる。

経営における補佐者の役割

経営における補佐者の位置づけは、パートナー経営者であったり支配人であったり、あるいは社長、専務など様々である。経営者にとって重要なことは、どれだけ信用できる補佐者であるか、という点である。一方補佐者にとっても、経営者の意向をどこまでくみ取れるかが重要な要素となる。お互いの信頼関係がなければ、どちらも成り立たない。
その上で、経営者の意向をいかに組織に浸透させるかが、補佐者にとって重要な役割となる。更にこの役割は、創業者の補佐者なのか、二代目の補佐者か、或いは三代目の補佐者かで異なる。それぞれの経営者の弱みをカバーする形で、補佐者は右腕としての役割を担っている。
① 創業者の右腕→ワンマン社長のブレーキ役
② 二代目の右腕→自主性の低い社長のアクセルふかし役
③ 三代目の右腕→外部の意見に左右されやすい社長の外部意見コーディネータ役

経営者別の強みと弱み

経営者別の強みと弱み

このように、右腕の役割はどの経営者に付くかで異なる。右腕もまた、半ば経営者のような重責を負う立場に置かれることになる。そこで、右腕自身にも“共に行動する”第二の右腕が必要になる。その右腕にも第三の右腕が…というように右腕の連鎖反応が起き、経営理念を組織に伝えるという役割が社内に拡散すれば、正に経営理念を事業承継の中心においた“全員参加型の理想的な組織”となる。

山田直樹

 

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